ひからせる
道券 はな
不器用な身体と滴る韻律がせめぎあう充実の第一歌集
ひかりは、傷のかたちをしている。
吊り革、睫毛、テープカッター、包装紙、母の背中。
見慣れたはずのものたちが、鋭い反射光のように、ふいにこちらを見返してくる。
道券はなさんの短歌は、日常の表面を撫でながら、その奥に沈んだ痛み、欲望、記憶、死者の気配までも、静かに発光させてしまう。
今日マチ子(漫画家)
〈髪色の明るい生徒を呼び出せば目が燃えている 心より先に〉
〈雨音にも文体がある肌寒い佐保川沿いを歩いてゆけば〉
〈ブラウスの後ろ留めてと言う母の背後にまわる息を殺して〉
人形への眼差しを通じて自らの内面をえぐった「嵌めてください」で、第66回角川短歌賞を受賞(選考委員=松平盟子、坂井修一、俵万智、藪内亮輔)。
欠落、喪失、不在のものへの小さな祈りは、ますます澄み、世界を照らす。希望の余韻にひたる全303首。