パーフェクトワールド
田中 翠香
2020年角川短歌賞受賞の著者による奇想天外な第1歌集。
作者は何と不可思議な短歌観を持っているのだろう。紛争の絶えない世界を背景にモノガタリのような歌集が生れた。(池田はるみ)
〈わたし〉は遍在する。それゆえ作者の歌をこの世にあらしめる。素敵なことではないか。「光射す海」を読んだ頃のリアルは、大きな物語の一章でしかなかったらしい。(松平盟子)
「ついて来ている?」と、翠香さんは振り向く。「大丈夫!」と答えながら、魅力あふれるダンジョンのような歌集を、わくわくと駆け抜けてゆく。(天野慶)
傷跡だらけの世界にも美しさを諦められないのが人間なのだとすれば、それはなんと愛すべき性であろうか。なんとうれしい性であろうか。(挿元おみそ)